TOP > 当院での肛門診療の流れ
肛門科と言うとどうしても身構えてしまい、ちょっとかかりづらいという方が多いと思います。患者さんの中には、受診を決意したものの来院の前日は緊張のあまり眠れなかったという方もおられます。私自身、実は医者と病院が大嫌いな方ですので、そのお気持ちはよくわかります。受診しづらい理由の一つに、一体どういう診察をされるかわからないということがあると思います。(歯科ならばみんな知っていますが、肛門科となると全く見当がつきませんから。)当院のサイトをご覧になった方からも診察の流れを教えてほしいというご要望がありました。そこで、このページでは当院に来院された方がどのような診察を受けるかについてご説明したいと思います。
また、肛門科の診察では(歯科のように?)痛い処置をされるのではないかということも恐怖感を覚える理由の一つではないかと思います。しかし、実際には肛門科の診察で痛い処置をするのはごく一部で、ほとんどはそれほど痛い処置はありません。それについては 肛門手術の実績のページでご説明してありますのでぜひご覧ください。
当院では診察の流れをスムーズにするために、女性看護師がお手伝いしながら、まず診察台の上で診察の姿勢をとっていただきます。その後で医師(私)が入室して診察するという手順になります。
診察室は2つあり、写真のようにどちらも同じようなセッティングになっています。診察室はそれぞれカーテンで仕切られている上に、その2つの部屋の間にはさらにアコーディオンカーテンの仕切りがあり、部屋と部屋との間でじかの声が聞こえないようにしています。ただ、安全上の配慮から大きな声を出せば聞こえるようにしていますので完全な防音というわけではありません。
診察室では、診察ベットをはさんで電子カルテのコンピュータのある側が私の座る場所で、患者さんにはその反対側に入っていただきます。肛門の診察を希望して来られた患者さんには、すぐに診察ベットに上がっていただきます。この時、女性看護師がお手伝いしますので、下の図のように、ズボンやスカートをずらし、パンツは下げないでおいてください。枕と診察台には、新しい使い捨ての紙シーツを毎回取り替えて敷いています。
診察の際には、女性看護師が患者さんの前側に立ち診察の介助をします。まず最初の診察は指診(指の診察)で、肛門に手袋をした人差し指(お子さんや狭い肛門などの場合には小指)を入れる触診です。この触診で、切れたり腫れたりして痛むところや、肛門にできたしこり、直腸のポリープなどを調べます。次に、肛門鏡と呼ばれる金属の筒(下の写真)を肛門にゆっくりと差し込み中を観察します。触診も肛門鏡も十分にゼリーをつけてすべりやすくし、なるべく痛くなく楽にできるようにしますが、切れたり膿んだりした部分の診察ではどうしてもある程度痛むこともあります。肛門の診察で一番の「コツ」は、リラックスして力を抜くことです。つい反射的に構えてしまって肛門の力を抜けない方が(特に男性に)多いのですが、力が入ると肛門が器具を締め付けてかえって痛みが増してしまうのです。とは言っても力を抜くのはなかなか難しいですが。
出血などの原因が肛門より奥の直腸にある場合は、もう少し長い直腸鏡という筒(一番下の写真)で中をのぞくこともあります。これは細長い筒で太くはありませんから特につらいというものではないのでご安心下さい。
ひととおり肛門の診察が終わると、スプレーで肛門に消毒液を噴霧して消毒し、きれいに拭きます。消毒はちょっと冷たいかもしれませんが、消毒薬は薄いもので皮膚や肛門に刺激はありません。最後に、もし肛門に出血や痛みのある場合は、注入軟膏を肛門につける場合もあります。
それから私が手を洗うために席を外しますので、その間に身支度を整えてイスに座っていただきます。その後、私が席に戻ってカルテを記載し、診察台を上げてこれを机がわりにし、ゆっくりと病状をご説明します。 (下の写真は内視鏡の検査結果を説明しているところです。)