当院の大腸内視鏡検査の治療方針

当院の大腸内視鏡検査の基本方針

  1. 内視鏡の挿入はできるだけ痛みを少なくして短時間で行う
  2. 腸の観察は時間をかけて丁寧に行い、小さいポリープでも見逃さないようにする
  3. 小さいポリープでも取った方がよいものは切除する
  4. 小さいポリープに対してはコールドポリペクトミー
  5. 2cm以上の大きいポリープでも切除可能なものは当院で切除
  6. 手術が必要なものは、東大などへ紹介
  7. 大腸の慢性炎症が見つかった場合

内視鏡の挿入はできるだけ痛みを少なくして短時間で行う

大腸に内視鏡を入れる際、腸が押されて伸びると痛みが出ます。当院では、そうならないように軸保持短縮法という方法で腸をたぐり寄せながら内視鏡を進めていきます。

しかし、この方法を使えばすべての方で検査が痛みなく行えるというわけではありません。違和感も痛みも感じない方もいれば、痛みがつらいと感じる方もおられます。当院では、検査前に患者さん自身のご希望をうかがい、痛みが怖いようでしたら最初から鎮静剤を使うことをお勧めしています。また、検査途中でも痛みがあれば必要に応じて鎮静剤を追加し、つらかったという印象があとに残らずにすむよう心がけています。

腸の観察は時間をかけて丁寧に行い、小さいポリープでも見逃さないようにする

腸の検査は病気がないかを調べるためのものです。いくら早く検査が終わっても、病気が見落とされては意味がありません。

大腸内視鏡検査では入れながら病変を探していると思われるかもしれませんが、実は病変を観察するのは抜く時です。もちろん大きい病変は入れていく際にわかりますが、小さい病変は抜くときに見つかります。その理由は、大腸を空気で膨らませてしまうと腸が伸びて内視鏡が進みにくくなるため、挿入時には空気を送ってヒダを広げることができないからです。内視鏡が奥まで入ってはじめて空気を送り、ヒダの奥まで広げてポリープを探すことができます。ですから、隠れたポリープを見落とさないようにするには、ゆっくりと観察しながら抜いてくることが大事になります。

できるだけ病変を発見して将来の大腸がんの発生を予防するためには、時間をかけて丁寧に観察することが重要であると科学的に証明されています。内視鏡をさっと入れてさっと抜いてしまうのでは、せっかく苦労して検査を受ける意味が半減してしまいます。当院では、抜いてくるときに十分に観察してわかりにくいポリープでも見つけて切除することを重視しており、検査開始から終わりまで30分前後かけています。理想とするのは、奥まで苦痛なくさっと入れ、よく観察しながらゆっくりと抜いてくる検査です。

小さいポリープでも取った方がよいものは切除する

大腸のポリープには取る必要のあるものと取らなくても大丈夫なものがあります。当院では、取らないでよいとはっきり判断できるポリープは切除せずに様子をみますが、取る必要のあるポリープと疑われるものは、3〜4mmと小さくても取るようにしています。目標とするのは、「クリーンコロン」と呼ばれるポリープが1個も残っていない状態です。しかし、ポリープが数多くある場合には一度に取りきれないので、後日再検査して取ることになります。切除するポリープの数が多ければ多いほど、切除後出血のリスクも必然的に増えますから、一回の検査で切除するポリープの数は原則として5個までとしています。ただし場合によっては一度に7〜10個のポリープを取る場合もあります。

小さいポリープに対してはコールドポリペクトミー

従来の大腸ポリープ切除では、電気メスという装置を使って高周波の電流を組織に流して焼き切る方法で切除していました。この方法では、切除部の周囲も少し焼かれるので病変の取り残しが起こりにくいというメリットはありますが、切除後出血のリスクがわずかながらあり、検査後1週間は食事・飲酒・旅行の制限があるというのが欠点でした。

当院では2015年から、4mm以下の小さいポリープにかぎり、コールドポリペクトミーと呼ばれる方法で切除しており、この方法での切除後の出血事例は全くないという良好な結果を得ています。コールドポリペクトミーでは切除後の生活制限がほとんどないので、従来のポリープ切除よりも大変楽に過ごせます。

2cm以上の大きいポリープでも切除可能なものは当院で切除

ポリープの形にもよりますが、2cm以上の大きさのポリープであっても、表面の様子から良性であると判断され、当院で切除可能なものは切除しています。切除できない大きさのものが見つかったら専門病院にご紹介します。

手術が必要なものは、東大などへ紹介

大腸がんや当院では切除できない大きさのポリープが見つかった場合は、専門的な治療ができる病院にご紹介しています。紹介先の病院については、もしご希望のところがあればそちらにご紹介しますが、特にご希望のない場合は、東京大学医学部附属病院の大腸肛門外科にご紹介しています。国立がんセンター大腸外科やがん研有明病院消化器外科にも大学の医局を通じての関連がありますので連携してのご紹介が可能です。大きいポリープの切除については東京大学医学部附属病院のほか、国立東京医療センター、昭和大学横浜北部病院などにご紹介しています。

大腸の慢性炎症が見つかった場合

ポリープやがんなどの他にも、大腸に慢性の炎症(炎症性腸疾患と呼びます)が見つかることも最近増えています。多くのものは当院で飲み薬や坐薬を処方して治療しますが、炎症の程度によってはより高度な治療が必要となる場合があります。その場合は、連携している専門病院にご紹介いたします。主な紹介先は東京大学医科学研究所大腸肛門外科ですが、そのほかの紹介実績としては、昭和大学病院消化器内科慈恵医大附属病院消化器・肝臓内科JCHO東京山手メディカルセンター炎症性腸疾患センターなどがあります。