当院での2012年1月から10月末までの肛門手術・処置の実績は以下の通りです。当院では、院長の黒田敏彦が全ての手術・処置を担当して行っております。
手術・処置の内訳
手術の種類と件数、およびそれに対する麻酔の種類を示します。
予約手術:131件 (手術枠の予約を取って行うものです)
痔核根治術(結紮切除術およびジオン注射療法) 73件 (仙骨麻酔)*
痔瘻根治術(痔瘻管切除術など)42件 (仙骨麻酔)
裂肛・肛門狭窄根治術 7件 (仙骨麻酔)
直腸瘤根治術 1件 (仙骨麻酔)
皮下腫瘍摘出術 2件 (局所麻酔)
尖圭コンジローマ切除術 6件 (局所麻酔)
*ジオン注射療法は無麻酔でも可能ですが、当院では肛門を良く拡げて病変部に確実に注射するために仙骨麻酔下に行っています。
外来処置:211件 (予約を必要とせず、外来受診時に行うものです)
痔核ゴム結紮術 74件 (痛くないので麻酔を必要としない処置です)
痔核血栓摘出術 11件 (局所麻酔)
痔核硬化止血術 3件 (痛くないので麻酔を必要としない処置です)
嵌頓痔核整復術 12件 (若干の痛みがありますが、通常は麻酔無しで行います)
肛門周囲膿瘍切開術 95件 (局所麻酔、まれに仙骨麻酔)
肛門拡張術 16件 (痛くないので麻酔を必要としない処置です)
ご覧になっていただいてわかるように、当院では同じ痔核の治療でも、薬・ゴム結紮療法・硬化止血術・ジオン注射療法・切除手術など、様々な治療法を組み合わせて、それぞれの患者さんの御希望と病状にあった治療法で治療するようにしています。
上にあげた手術については、どういう手術かの説明のページを作る予定です。出来次第に公開したいと思いますので、それまでお待ち下さい。
おしりの具合が悪くて診察に来られた患者さんの多くが、「手術で切らなければいけないんだと思って来ました」と言われます。どういうわけか、肛門科でおしりを診てもらうと手術をされると思っている方が多いようです。でも実際には、そのようなことはまったくありません。
当院には2012年の1月から10月の間に2400人以上の方が初診で来院されましたが、おしりの悩みで来院された方は1800人くらいです。これをもとに、上に挙げた手術・処置の数を整理すると下の表のようになります。
これでわかるように、外来で「いきなり」痛い処置をする確率は17人に一人、予約して手術を受けることになる確率は14人に一人ということになります。つまり、おしりの悩みで受診される患者さんのうち、ほとんどの方は薬だけの治療で良くなることがわかります。
外来に「切るしかない」と思い詰めて来られる方の多くは、肛門が腫れて痛くなった方です。そのうち、外来でいきなり切る必要があるのは肛門周囲膿瘍によって膿がたまった場合ですが、実はあまり多くありません。肛門の痛み・腫れの大部分は血栓性外痔核によるもので、そのほとんどは薬だけで良くなります。その診断には診察が必要ですので、まずは受診していただくようにお願いします。
また、痔の患者さんの中には、「手術をした方が良くなるんだけれども、まだ決心がつかない」とか、「手術を受けたいんだけれども、仕事が忙しくてまだ受けられない」といった方も数多くおられます。当院では「痔は切りたくなった時が切り時」をモットーにしていますので、患者さんご自身の意思を尊重して、手術を受ける気になるまでは、できるだけ手術以外の投薬や処置で対応するようにしています。
くよくよ心配しているよりも、まずご自身のおしりの本当の状態を知ることが大切です。ほとんどの方は手術は必要ありませんし、もし必要な場合でも、手術を受ける気になるまでは、それに合わせてできる限りの治療を提供するよう心がけています。当院では、肛門の診察を受けてかえって不安になるのではなく、自分のおしりの状態について納得して心の安らぎを得ていただけるクリニックになることを目指しています。