大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるには、大腸を空っぽにするために腸管を洗い流す洗浄下剤を飲まなくてはいけません。これは、3、4時間かけて2ℓから3ℓという大量の液体を飲むもので、結構たいへんな作業でした。
当院では、2022年から新しいタイプの洗浄下剤「サルプレップ」を採用していて、多くの方に好評を得ています。これは薬液としては500mlのPETボトルを2本、つまり1ℓ飲むことになっており、従来の下剤の半分の量になっています。さすがにそれだけでは腸をきれいにするのは無理で、それと合わせてさらに2ℓの水やお茶を飲むのですが、それでも、薬液の量が従来より少なくて楽だったとおっしゃる方が多いです。
当院でサルプレップをお勧めしているもう一つの理由は、腸内での泡立ちが少なく、ポリープなどを見つけやすいということがあります。そのため、検査する医師にとってもストレスが少ないということもあり、当院ではまず第一にサルプレップを飲んでの検査をお勧めしております。
サルプレップには、美味しく飲むためのコツがいくつかありますので、それをご紹介した動画を作成しました。ぜひ一度ご覧ください。以下のリンクからご覧になれます。
この動画についても、文字起こしをしたものを以下に添付しますので、動画を見るのが面倒な方はご参考にしてください。
新しい腸管洗浄下剤「サルプレップ」のご紹介です。
大腸内視鏡検査というのは、普段便が詰まっている場所を見るわけですから、それを洗い流してきれいにしないと見ることができません。例えば胃カメラですと前の日にご飯を抜いて絶食にするだけで翌日にはきれいになってくれるんですが、大腸はいくら絶食にしてもさすがにそういうわけにはいきません。それでどうするかというと、当日の朝から2〜3ℓの液体をひたすら飲んで腸を洗い流すという難行苦行が待っているわけですね。従来どういうふうにしていたかというと、大きな袋に入った粉を溶かして、2ℓの液体にして3〜4時間かけて飲んでいました。とても良いお薬なのですが、きれいにするにはさらに水・お茶も1ℓ飲むということで、結局3ℓの液体を飲むことになり、これが結構大変でした。
当院では、2022年の秋から新しいタイプの洗浄下剤「サルプレップ」を採用して皆さんにある程度好評をいただいているので、それについてお話しします。
それは、500mlのペットボトル2本に入っていて、合計1リットルの液体になります。以前使っていた袋に入ったものは、ご自宅で飲む際には、水を2ℓ足して、ガシャガシャ振って溶かすので、溶かすのも大変ですし、できたら大きな袋になって、心理的圧迫もすごいということがあったのですが、サルプレップはペットボトル2本と少なく、すでに溶けてるので、溶かす手間もありません。これならいけるんじゃないかという感じもするのですが、これだけではなくて、ほかに水かお茶を2ℓ飲む必要があります。合計は結局3リットルで、トータルの量は変わらないのですが、たくさん飲むのが水とかお茶なので、ちょっとは楽に飲めるんじゃないですかというのが考え方です。
従来の2ℓの下剤は、味は薄ぼんやりしていて、苦手な方だと2ℓ飲むのが本当に苦痛で、吐いてしまう方もいらっしゃいましたが、サルプレップでは味が濃いめでしっかりしていて、具体的にいうと、味は酸味とちょっと苦味があり、甘味が濃いという方もおられて、例えて言うならレモンスカッシュの味とお伝えしていますが、ある意味そんな味ですが、そこまでおいしくはありませんので、期待はしないでください。その後に普通の水やお茶が飲めますから、それがだいぶ助けになります。
今回、サルプレップを大変お勧めしている理由は、決して飲む量が少なくて楽だということだけではなく、従来の下剤に比べて泡立ちが少なく、腸の中が見えやすいので、ポリープなどを見つけやすいというのが最大の理由です。2ℓの下剤だと腸の中が泡だらけになっていて泡を洗い流さないと腸もポリープも見えてこないということが結構ありましたが、サルプレップは泡だらけになってることが格段に少ないのです。そのため、ポリープを見つけるための手間や時間も少なくなりますし、ポリープを見つける率が実際高いということも報告されているようですので、検査する側にとって大変ストレスが少ないので、どうしてもというこだわりがない限りは、まずサルプレップを飲んでいただくようにお願いしています。
具体的な飲み方のポイントをいくつかお話ししたいと思いますが、従来のものよりも量が少ない1ℓということで、その分、味が濃くなっています。なので、感じとしてはですね、きついドリンクをショットで一杯あおった後に、チェイサーの水・お茶を2杯飲めますとお話しています。具体的にはですね、製薬会社さんのプロトコールの飲み方によると、10分おきにコップ1杯分の薬液を飲んで、10分後に水かお茶1杯、その10分後にまた水かお茶1杯と、そういうふうに説明されているんですが、今お話ししたように、口に味がちょっと残りますから、「あー、早くチェイサーの水を飲みたいな」って10分ジリジリ待たなくていいですから、30分の間に、コップ1杯の薬液とコップ2杯分の水かお茶を飲むということが大事ですので、もしどうしても早く水を飲みたい場合は飲まれてもいいかもしれませんが、ペースは守っていただいて、30分の間に薬液1杯分と水かお茶2杯分という、その量以上は飲まないようにしてください。
さらに、これを飲んでいただくときに、非常に大事なおすすめポイントが2点あります。
1つは、冷やすと味がわかりにくくなって飲みやすくなることです。検査の前日に冷蔵庫に入れておいていただくと、当日冷えたのがおいしく飲めますとお話ししています。(但し、寒い時期は部屋を暖かくしてお飲みください。一緒に飲むお茶や水は、お好みに合わせて常温や温めていただいて構いません。)
あと、もう一つのポイントはストローで飲むことです。ストローで飲むと、味がぴゅっと奥に入ってしまうので、あまり味あわずに飲める、ということなんですね。
というわけで、ぜひこの2点、冷やして飲むということと、ストローで飲むということを、ぜひ試していただければと思います。
最後に、副作用などについてもお話ししておきたいと思います。サルプレップはマグネシウムというものが主体になった成分のお薬ですので、塩分のようなものをたくさん飲むような形になりますから、腎機能の悪い方、透析をされている方とか、高度の腎不全と言われている慢性腎不全の方では、ちょっとお飲みいただけないことになっていますので、その場合は、従来のモビプレップ、ニフレックを選んでいただくことになります。
それ以外の副作用という面では、大変少ないという印象です。従来のモビプレップ、ニフレックでは、まれにですけど薬疹・発疹が出ちゃう方がまれにいらっしゃったんですが、サルプレップの方はマグネシウムという塩みたいなものでできていますので、そういうアレルギーを経験したことが今までうちではありませんので、腎機能が悪いときに飲めないということ以外について言えば、副作用の点では非常に少ないものではないかというふうに思っています。
以上、当院でお勧めしている腸管洗浄液サルプレップについてご紹介しました。これまでの2ℓの洗浄液では吐いちゃった方が結構いらっしゃったんですけれども、サルプレップでは、まずいとおっしゃっても、吐いた方がかなり少ないという印象ですので、以前の下剤でものすごく苦労して飲んだと言われる方にとっては、ひょっとしたら良いお薬かもしれませんので、ぜひ一度試していただければと思っております。