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保険診療か自費診療かの目安について

保険診療か自費健診かについて

日本の医療システムは国民皆保険の健康保険制度によって守られていますが、これは全ての医療行為が保険で行えるというわけではありません。その理念としては、病気で治療が必要な人の医療費を皆で支え合うという考え方になっています。そのため、症状は無いが病気になっていないか不安であるとか、ある程度の年齢になったので調べておきたいと言った、病気がはっきりと疑われるわけではない場合には、健康診断であると判断され、健康保険を使うことはできません。保険診療の財源は限られていますので、実際に今すぐ治療が必要な方にそのお金を使えるようにするために必要な判断だとご理解下さい。

受診された時の検査が保険診療になるか自費健診になるかについて、一応の目やすになるように、それぞれの例を挙げておきますが、これらはあくまで目やすであり、最終的には医師の判断となることをご了解下さい。

ご自分が保険診療になるか自費健診になるか気になる方は、事前に一度来院して医師の診察をお受け下さい。

保険診療になる場合

  1. 健診の便潜血検査で陽性と判定され、精密検査を受けるように指示された。
  2. 以前にポリープを切除したことがあり、定期的にチェックを受けるように指示されている。
  3. 排便時に便に血液や粘液が混じることを繰り返している。
  4. 1ヶ月以上下痢や腹痛が続いている。
  5. 便意があるのに便がすっきり出ず、1日に何回にも分けて小出しに便が出たり、便が細くなることが数日〜1、2ヶ月前から続いている。

など 。

自費健診になる場合

  1. 特に症状はないが節目の年齢になったので検査を受けておきたいという場合。
  2. 家族に大腸癌やポリープが多いので何となく心配という場合。*
  3. 数年前から続く便秘で、最近特に変化はないが便秘があるので心配という場合。

など。

注* 一部の遺伝性の大腸癌(家族性大腸腺腫症や遺伝性非ポリポーシス大腸癌)と診断された方が血縁の近親者にいる場合は保険適応になります。

実際には、医師が検査前の診察で判断して、どちらになるかお伝えすることになりますので、ご了解下さい。

内視鏡検査にかかる費用について

内視鏡検査にかかる費用について

当院では大腸内視鏡検査と胃内視鏡検査を行っておりますが、検査にどのくらいの費用がかかるかについてのお問い合わせをよくいただきます。このページでは、内視鏡検査にかかる費用について大腸内視鏡検査と胃内視鏡検査に分けてご説明いたします。

検査費用はまず、検査が保険診療の対象になるものか、自費検査かで違ってきます。 これは、何らかの症状(出血、痛み、下痢など)があり、その原因を突き止めるための検査であるか、あるいは、特に症状はないのだが検査を受けておきたいのかで分けられます。

保険診療になるのは、患者さんの症状に対して医師が内視鏡検査が必要と判断した場合に限られます。たとえ少し症状があっても内視鏡検査は必要でないと医師が判断すれば健診目的での自費健診ということになりますし、特に症状のない場合は全て自費健診になります。詳しくは保険診療になるか自費健診になるかの目やすについて解説したページを作りましたので、是非ご一読下さい。このどちらになるかは最初の診察時に医師が症状などをお聞きして判断することになります。 ご自分がどちらになるか気になる方は、事前に一度来院して医師の診察をお受け下さい。

保険診療と自費診療の違い

 

大腸内視鏡検査の場合

以下に保険診療になる場合と自費健診になる場合に分けてご説明します。下の方にまとめの表も作りましたのでご覧ください。

保険診療になる場合

現在の症状をお聞きした上で、医師により保険診療になると判断された場合、大腸内視鏡検査の費用は、以下の3つのケースで異なってきます。

1.特に異常が見当たらず、観察のみで終わった場合。

保険3割負担で6000円程度になります。

2.炎症や潰瘍などが見つかり、組織を一部採取して顕微鏡で詳しく調べる検査(生検による病理検査と呼びます)を行った場合。

3割負担で1万円〜2万円弱

3.切除した方がよいと思われるポリープが見つかって、ポリープ切除術による治療まで行った場合。

3割負担で2万円から3万円

いずれの場合にせよ、3割負担では、自己負担額の最大額は3万円程度です

保険診療となった場合、多くの方は自己負担は3割ですが、70歳以上の方で1割負担、2割負担の方はこれよりも安くなります。(下の表をご覧ください。)

自費健診になる場合

健診目的での自費診療の場合は、自己負担額は約1万8千円になります。但し、検査の途中で切除が必要なポリープが見つかった場合には保険診療に移行し、下記の保険診療の自己負担額が適応されます。健診で内視鏡中に炎症などが見つかって生検による病理検査を行った場合は、内視鏡部分は自費、病理検査は保険診療となります。 また、健康保険をお持ちでない場合は全額自費になります。

大腸内視鏡検査支払額

胃内視鏡検査の場合

胃の内視鏡検査の場合、胃のポリープはほとんどが切除の必要がなく経過観察で十分なため、当院では生検検査しか行いません。

保険診療になる場合

何らかの症状があって、医師により保険診療と判断された場合には、胃内視鏡検査の費用は、次のようになります。

1.特に異常が見当たらず、観察のみで終わった場合。

保険3割負担で4000円程度になります。

2.炎症や潰瘍などが見つかり、組織を一部採取して顕微鏡で詳しく調べる検査(生検による病理検査と呼びます)を行った場合。

3割負担で9千円〜1万2千円くらい

保険診療となった場合、多くの方は自己負担は3割ですが、70歳以上の方で1割負担、2割負担の方はこれよりも安くなります。(下の表をご覧ください。)

自費健診になる場合

健診目的での自費診療の場合は、自己負担額は約1万4千円になります。健診で内視鏡中に、炎症などが見つかって生検による病理検査を行った場合は、内視鏡部分は自費、病理検査は保険診療となります。 また、健康保険をお持ちでない場合は全額自費になります。

胃内視鏡検査支払額

当院での検査時の待ち時間について

当院での検査時の待ち時間について

 当院での検査については、かねてから待ち時間が長いとの御意見をいただいております。当院では院長が一人ですべての診療を行っていることと、「大腸検査は、挿入は苦痛なく手短かに、抜去時の観察は丁寧に時間をかけて」行うことをモットーとしていることもあり、検査前後の待ち時間が長くなる場合もあります。このページでは、当院での大腸内視鏡検査胃内視鏡検査の実際の時間的な流れをご説明したいと思います。

私としてはそれぞれの方の検査を精一杯行いたいという思いがあり、丁寧な観察により小さな病変の検出率が上がっていると考えておりますが、独りよがりの考えにならず、少しずつ検査の流れを修正してなるべくお待たせしないようにしたいと考えております。まだまだ力の及ばない部分がありご迷惑をおかけして申し訳ありません。これからも改善を続けながら皆様の健康と地域の医療に貢献して行きたいと思っておりますので、宜しくお願い申し上げます。

ニコタマ大腸・肛門クリニック
院長 黒田敏彦

当院での大腸内視鏡検査の時間の流れ

 当院の大腸内視鏡検査ではご希望により、クリニックに来てから検査用下剤を飲んでいただくか、ご自宅で朝から下剤を飲んでご来院いただくかを選んでいただけます。それぞれの場合で検査の流れが異なりますのでご注意下さい。いずれにせよ、当院ではなるべく便がきれいになってから、できるだけ良い状態で検査をするようにしていますので、便がなかなかきれいにならない方では順番が遅くなることをご理解下さい。

クリニックで検査用下剤を飲んでいただく場合

 クリニックには朝9時のご来院をお願いしています。最初に診察をして、問診と検査説明をさせていただきます。検査予約の方は一般の外来の方より早めにお呼びするようにしていますが、ご来院の順番によっては最初の診察が9時半を過ぎることもあります。 
 午前9時過ぎ〜10時に検査用下剤を飲み始め、早い方では12時前に便がきれいになりますが、便秘のひどい方では追加の下剤を飲んだり浣腸を追加するなどして、便がきれいになるのが午後3時を過ぎることもあります。検査・手術の時間は午後1時から4時半としていますが、院長がすべての診療を一人で担当しますので、その日の外来の混み具合や処置の多さによって検査開始時間が前後します。土曜など外来が非常に混み合う日は検査開始が午後2時を過ぎることもあります。検査は毎日3〜5名の方に行っており、便のきれいになり具合を看護師が確認して早く便がきれいになった方から順番に検査を受けていただきます。そのため、検査を受けていただく順番は予約順や来院の順番ではありません。検査が終わってクリニックを出る時間は、早くて午後2時から3時、後の順番の方で4時から5時になります。めったにはありませんが、最後の方がお帰りになる時間が夜6時を過ぎることもあります。以上のようなことから検査当日は他にご予定を入れないようお願いしています。 
(この後に大腸内視鏡検査自体にかかる時間の説明をしておりますのでそちらもお読み下さい。)

ご自宅で朝から検査用下剤を飲んでいただく場合

 朝からご自宅で下剤を飲み始めていただきます。便がきれいになるまで3時間はかかります。下剤を飲み終わってしばらくすると便意が間遠になり落ち着いてきますので、午後の指定の時間にクリニックに来院していただきます。ただ、この時間は検査開始の時間ではなく、他の方の検査の 進行の具合によっては、院内でさらにお待ちいただくことになります。来院時に便がまだきれいになっていない場合にはさらに追加の下剤の服用が必要となり、院内で下剤を飲んでいる方よりも検査の順番が後になることもあります。土曜日など外来が長引く場合や、なかなか便がきれいにならない場合は、検査開始が午後4時過ぎになることもありますので、ご理解ください。

大腸内視鏡検査自体にかかる時間について

 検査の順番になりましたらガウンと検査用使い捨てパンツに着替えていただきます。検査室に入ったら検査用のベッドで体の左側を下にした姿勢で横になり、検査開始となります。鎮静希望の方では、腕から小さな注射を一本打ちますので、少しお酒を飲んだような感じになります。

 大腸検査は病変を見つけるために行う検査ですから、早く苦痛無く奥まで挿入することも重要ですが、見落としなく丁寧に観察することも重要です。最近では精密に見るために色素散布も適宜行っていますので、従来より時間をかけています。内視鏡が一番奥の盲腸まで入るまでの時間は5〜10分のことが多いですが、抜去しながらの観察には15〜20分はかけるようにしており、検査開始から終了までは大体25〜30分くらいかかります。また、大腸は人によって大変複雑な曲がり方をしていますので、そのような方では十分な観察のための時間も長くかかります。

 当院では、鎮静無しの場合はもちろん、弱めの鎮静をした場合でも多くの方では眠ってしまうほどではないので、検査中のご自分の大腸の中の様子をご覧になっていただけます。中を見るのが怖いという方は無理にご覧にならなくても結構ですが、それでも結局は中をご覧になっていることが多いです。今どのあたりを見ているかなどをご説明しながら内視鏡を抜いていきます。ポリープなどの病変があった場合には、組織採取やポリープ切除の様子もご覧になっていただけます。

 検査終了後は、腸を膨らませたガスをトイレで出していただきます。鎮静剤を使用しなかった場合は検査終了のすぐ後に、鎮静剤を使用した場合は1時間ほど休んでから、診察室で検査結果をご説明します。特に異常のなかった場合は写真入りの報告書をその場でお渡ししますが、ポリープ切除などの処置を行った場合は、手書きの仮の検査報告書をお渡しします。病理検査結果をお話しするために2週間後にもう一度来院していただき、その際に写真入りの正式の報告書をお渡しします。

当院での胃内視鏡検査の時間の流れ

 クリニックには朝10時のご来院をお願いしています。最初に診察をして、問診と検査説明をさせていただきます。検査予約の方は一般の外来の方より早めにお呼びするようにしていますが、ご来院の順番によっては最初の診察が10時半を過ぎることもあります。

 検査は外来診療の合間に行っておりますので、その日の外来の混み具合により午前10時すぎに検査できることもありますが、大体10時半くらいの検査となり、日によっては午前11時を過ぎる場合もあります。

 検査室では、まず局所麻酔剤(キシロカインゼリー)を口に含んでいただいて咽喉(のど)の麻酔を行います。咽喉の麻酔が終わりましたら、検査用ベッドに横になっていただきます。胃カメラが苦手で鎮静希望の方では、腕から小さな注射を一本打ちますので、少しぼーっとした感じになります。その後、小さなプラスチックの筒(マウスピース)を口にくわえていただき、検査開始となります。検査時間は組織採取などの処置を行うかどうかにもよりますが、10分くらいかけて行っています。胃カメラの場合は、通常は胃の中の様子はご覧になっていただいておりません。

 検査終了後は、鎮静をした場合には1時間安静にして休んでいただきます。鎮静のない場合はそのまま身支度をして、待合室でお待ちいただきます。検査の終了後1時間は飲んだり食べたりすることができません。また、大変申し訳ありませんが、検査結果のご説明までは、その日の外来の混み具合によりますが、30分〜1時間お待ちいただいております。クリニックを出るのは通常12〜13時です。

検査を予約される際の確認事項

大腸内視鏡検査を予約される方へ

当院では患者さんご自身で選んでいただくように、いろいろな選択肢をご用意しているほか、検査を受ける前にチェックしていただきたいことがいくつかあります。検査の承諾書にも一部含まれておりますので、以下のチェック項目でご自分に当てはまることがあればご確認をお願い致します。こんなにたくさん読んではいられないという方には、一番最初の「血液サラサラの薬」と「ポリープ切除の希望」のところだけでもお読みいただければ結構です。

【検査予約から来院するまでのチェック項目 】
1. 血液を固めにくくするお薬(血液サラサラの薬)を飲まれていませんか?
2. ひどい便秘症ではありませんか?
3. 検査前日の食事について
4. 検査時に着用する検査着について
5. 腸管洗浄液を自宅で飲むか、来院してから飲むか
【検査来院時から検査開始までのチェック項目】
1. お好みの腸管洗浄液はありますか?
2. 検査時に鎮静剤を希望されますか?
3. 大腸ポリープが見つかった場合に切除を希望されますか?

検査予約から来院するまでのチェック項目

1. 血液を固めにくくするお薬(血液サラサラの薬)を飲まれていませんか?

 血液サラサラのお薬を飲まれていても内視鏡検査を受けることは可能ですが、出血を起こす可能性があるのでポリープの切除はできません。しかし、サラサラのお薬を勝手にやめることは絶対にしないで下さい。まずその薬を処方されている主治医の先生とよく相談して許可をもらっていただく必要があります。ご不明の点は当院まで電話でお問い合わせ下さい。

2. ひどい便秘症ではありませんか?

 便秘で便がたまっていると、検査当日に飲んでいただく腸管洗浄の下剤の量が多くなる可能性があります。ですから、普段から便秘ぎみで2〜3日以上便が出ないような方では検査前1週間くらいはきちんと下剤を飲んで毎日排便しておいた方が当日の腸管の洗浄がスムーズになります。もし下剤をお持ちでないようでしたら処方致しますので、検査前に一度ご来院ください。毎日排便のある方では事前の下剤は必要ありません。

3. 検査前の食事について

 見落とし無くすみずみまで大腸を検査するためには、大腸の中に便の残りがなく、きれいになっている事が重要になります。そのために、検査前3日間は野菜やキノコ・海草・果物など繊維質のものを食べないようにして下さい。便通にいいだろうと検査前に繊維質のものを食べてこられる方がいますが、残渣が腸の中に残ってかえって検査がやりにくくなってしまいます。便秘の方では、上記の項目2にも書きましたが、大腸検査前には下剤を使って排便をうながす事をお勧めします。

食べてはいけないもの、食べてよいものは以下の通りです。

 食べてはいけないものは、野菜全般(特にネギ、タマネギ、ナス、トマトなど)、キノコ、海藻、コンニャク、果物など植物性のもの。

 食べても良いものは、ごはん(おかゆである必要はありません。普通の米飯で大丈夫です)、麺類(うどん、そば、ラーメン)、パン、卵料理、肉・魚類、練り物(かまぼこ、はんぺんなど)、豆腐、ゆば、お揚げ、乳製品(牛乳、バター、チーズ、クリームなど)です。植物性のものでは、ジャガイモとバナナなら食べても大丈夫です。

 ご自分では食事を工夫できない方のために、検査用のレトルト食事セット(クリアスルーコロミルなど)をクリニック受付で販売しております。代引きで宅配することも可能ですので、電話でご相談ください。

4. 検査時に着用する検査着について

 便がきれいになりましたら、検査前に検査用ガウンと紙製使い捨てパンツに着替えていただきます。ご自宅からパジャマなどをご持参になれば、それに着替えて検査を受ける事も可能です。

5. 腸管洗浄液を自宅で飲むか、来院してから飲むか

 大腸内視鏡検査を初めて受ける方には、基本的に来院してから腸管洗浄液を飲むことをお勧めしています。というのは、初めてだと洗浄液が口に合わなくて全部飲めなかったり、便秘がひどいと十分な排便が得られないことがあるからです。

 以前に検査を受けた事があり検査の流れがおわかりになっている方や、便秘も無く洗浄下剤を飲む事に自信のある方、クリニックでは落ち着いてトイレに行けなくて心配という方などでは、ご自宅で洗浄下剤を飲んでから来院する事も可能です。その場合は、一度事前に受診していただき検査用腸管洗浄液をお渡しします。検査当日は、洗浄液の内服開始後2〜3時間してひとしきり便が出てしまうと、後はあまり便意を感じなくなるので、電車などで来院できるようになります。

検査来院時から検査開始までのチェック項目

1. お好みの腸管洗浄液はありますか?

 現在、大腸内視鏡検査用によく使われる腸管洗浄液は4種類あります。当院ではモビプレップ、ニフレック、マグコロールP、ビジクリアの4銘柄の腸管洗浄液の中から選んでいただけます。いずれも約2リッターの下剤ないしは水分を飲む点では同じですが、モビプレップは腸管洗浄力が高く、きれいになるまでの時間も短いので、特に御希望のない場合はモビプレップをあらかじめご用意させていただきます。詳しくはモビプレップの説明のページをご覧ください。もしそれ以外に、以前の検査で飲みやすかったなどの理由でモビプレップ以外の腸管洗浄液を希望される方は、検査をご予約の際にあらかじめご希望をお知らせ下さい。医学的に問題の無い限りご希望に添うように致します。

 それぞれの腸管洗浄液の特徴は以下の通りです。

モビプレップ(ポリエチレングリコール系):梅ジュースのような味で、少し塩味が濃いです。

ニフレック(ポリエチレングリコール系):ポカリスエットのような味です。

マグコロールP(マグネシウム系):サイダーを薄めたような味です。

ビジクリア(リン酸ナトリウム系):50錠の錠剤を15分おきに5錠ずつ飲んでいき、その合間に水・お茶・紅茶を200mlずつのみ、約2時間かけて計2リッター飲みます。これは、飲み方が難しいのでクリニックで飲むことをお勧めします。

2. 検査時に鎮静剤を希望されますか?

 当院では患者さんのご希望に応じて鎮静剤を使用しています。大腸内視鏡検査で痛みが出るかどうかはその患者さんの大腸の長さや癒着の有る無しで違ってきます。内視鏡挿入時に大腸が伸ばされてしまうと痛みが出るわけですが、日本人では一般に男性より女性の方が大腸が長かったり屈曲が強いことが多く、女性の方が痛みが出やすい傾向にあります。実際の経験では、男性では7〜8割、女性では約半数の方で鎮痛剤がなくても多少の圧迫感くらいで検査を終えることができるので、鎮静剤を使いたくないというご希望の方にはそのようにしています。しかし検査は修行ではありませんから、我慢して受ける必要はありません。「以前の検査が痛かった」とか「とにかく痛いのがいや」「なんだか怖い」という方は、鎮静剤を使ってラクに痛くなく検査を受けられます。鎮静剤の強さは、お話ししながらご自分で画面も見られる「弱め」のものと、ウトウトして眠るような「強め」のものの2通りを用意してありますのでお選び下さい。鎮静剤の効き方には個人差も大きいので、いずれの場合でも量を加減して使用します。

 「弱め」の鎮静法では点滴はせずに、腕から鎮静剤を静脈注射します。少しぼーっと眠いような感じがしますが、眠ってしまうほどではありません。同じ量を使っても人によって効きが違い、全く眠気を感じない場合もあれば眠くなって寝てしまう場合もあります。多くの場合、これだけで十分に痛みも感じず、院長と時々お話ししながら、ご自分でも画面を見つつ検査を受けられます。ご自分の腸の中をご覧になって、その美しさに感動される方も多いです。検査終了後はリカバリーチェアで1時間ほど休んでいただきます。あまり多くはありませんが、弱めの鎮静をしても痛みがある場合には、点滴をして強めの鎮静に移行する場合もあります。

 「強め」の鎮静法では、点滴をしながら鎮静剤を静脈注射します。これによってかなりボーッとして、眠ってしまう事が多いですが、中には、完全に眠るのではなくぼんやりと何かしているのがわかるくらいの事もあります。検査終了後はリカバリーチェアで2時間ほど休んでいただきます。

 検査結果については、十分にさめた後でご説明します。また、いずれの鎮静法でも検査後に車・バイク・自転車を運転して帰ることはできません。必ず公共交通機関を利用するか、誰かに送り迎えを頼んで帰宅するようにして下さい。鎮静剤を使用しない場合は、検査後すぐに帰っていただけますし、運転することも可能です。

3. 大腸ポリープが見つかった場合に切除を希望されますか?

 前ページにも書きましたように、電気メスを使ったポリープ切除を行なった場合、1週間は旅行などの遠出や飲酒を避けていただく必要があります。電気メスを使ってポリープを切除するとごくまれに(当院では0.5%以下です)切除部位から出血して、再度内視鏡で止血をすることが必要になることがあります。もちろん、このようなことが万一おこった場合には24時間いつでも対応できるようにしておりますが、ご旅行で遠くに行っていたりすると対応できなくなってしまいます。また、飲酒すると血液の循環が良くなって出血の可能性が増すと考えられています。出血はふつう切除後1週間以内におこりますので、この間に旅行や飲み会のご予定がある場合には電気メスを使ったポリープ切除ができません。

 それ以外の理由でも切除を希望されない場合には観察のみの検査としますので、事前にポリープ切除を希望するかどうかを承諾書に記入していただきます。

ポリープ切除の方法と切除後の注意について

大変申し訳有りません。ただいま準備中です。近日中にアップロードします。

モビプレップの説明

腸管洗浄液「モビプレップ」について

「モビプレップ」とは?

大腸内視鏡検査を行うためには、まず腸管内の便をきれいに洗い流しておくことが必要です。そのために検査前に飲んでいただくのが腸管洗浄液で、「モビプレップ」はその一つです。

モビプレップの特徴

 当院では、他にも「ニフレック」や「マグコロールP」を腸管洗浄液として使用していますが、モビプレップはニフレックと同じ成分(PEG4000)をもっと濃い濃度で配合し、ビタミンCを追加したものです。その特徴は、濃度を濃くした分だけ飲む量が減らされ、あとから水やお茶などを飲んで体の中で薄めるようになっていることです。(お酒好きの方ならおわかりになると思いますが、濃いお酒のあとにチェイサーの水を飲むようなものです。) 薬剤はそのまま水に溶かせるように写真のようなプラスチックバッグに入っており、主成分とビタミンCの2つの部分に仕切られていて、水を入れてから袋を圧迫すると仕切りが開いて混合されるようになっています。

 パッケージと中味の写真をお見せします。(クリックで拡大します)

 (包装)モビプレップ包装表 モビプレップ包装裏

 (薬剤バッグ)モビプレップバッグ表 モビプレップバッグ裏

 
味と飲み方は?

 実際に当院のスタッフでも味見をしてみました。ビタミンCの酸味がきいていて、一口目のイメージはリンゴジュースでしたが、もう少し飲んでみると梅ジュースのような味で、ニフレックよりも塩味を強く感じます。そのため、しばらく飲んだあとにはお茶で口直しをしたくなるので、追加のお茶もさらっと飲めます。

 一つ重要なことは、上にも述べたようにモビプレップを飲んだ後にはその半分の量の水かお茶を必ず飲まなくてはいけないことです。モビプレップを飲むだけだと濃度が濃いために、体の水分が腸の中に吸い出されて脱水になる可能性があるからです。こう書くとなんだか恐ろしく聞こえるかもしれませんが、喉が渇いたら水やお茶を飲めば大丈夫ですし、むしろそれでお茶がすすんで楽に飲めるようになります。水分を飲むのはモビプレップを飲む前でも最中でも構いませんので、いつでも自分の飲みたい時に口直しができます。ただし、万一のことを考えて一人では飲まないように指示されていますのでご注意下さい。特に、ご高齢の方や大きな持病のある方では脱水を起こす可能性もありますので、誰かに付き添ってもらって飲んだ量をチェックしてもらうようにして下さい。下記は添付されているガイドの一部ですが、詳しくは必ず最新の添付文書を参照して下さい。

モビプレップ飲み方説明1

 
便秘で腸がきれいになりにくい場合には?

 さて、きれいになるまでの標準量はモビプレップではおおよそ1.5リットル+水分750mlですが、便秘ぎみの方でそれでも腸がきれいにならない時にはさらに追加を飲む必要があります。追加の際にはモビプレップをまず500ml飲んでいただき、その後に水分250mlを飲んで終了です。こうして最大限飲んだ場合には、合計でモビプレップ2リットル+水分1リットルを飲むことになります。

 ちなみに、モビプレップの新薬申請時の厚労省の審査でモビプレップと従来のニフレックを比較したデータでは、きれいになるまでに飲んだ量の平均値がモビプレップ1.6リッター+水分800mlの計2.4リッターに対し、ニフレックは2.6リッターでした。このように液体として飲む量の合計は少ししか減っていませんが、薬剤そのものを飲む量は半分近く(1.6リッター対2.6リッター)になっていますので、だいぶ楽になったと言えると思います。また、飲みはじめから腸がきれいになるまでの時間もモビプレップは2.6時間、ニフレックは3.2時間で、30分ほど短縮されています(参照:資料pdf  3ページ目の左側)。

 添付のパンフレットで飲み方をまとめた図が以下のようなものです。

モビプレップ飲み方説明2

この図では合計でモビプレップ1.5リットルと水分750mlを飲むことになっていますが、上にも述べたように、それでもきれいにならない場合にはさらに追加して、最大でモビプレップ2リットル+水分1リットルを飲むことになります。(飲み方のパンフレットの全体はこのページの一番下に添付してあります。)

 
実際に使ってみた感想は?

 当院でモビプレップを飲んでいただいた方で、以前に他院でニフレックを飲んで途中で吐いてしまったという方に感想をお聞きしたところ、「標準量の1.5リットルまではお茶も含めて楽に飲めたが、結局追加が必要になり追加分の500mlはやっぱりきつかった。しかし全体としてはニフレックよりも楽で吐くこともなかった。」とのことでした。

 

当院での飲み方

 当院では、朝クリニックに来ていただいて院内1階の検査用ラウンジで腸管洗浄液を飲むことができるようにしていますが、モビプレップはあらかじめ溶かしてご用意しておきます。合い間に飲む水は、院内で500mlのペットボトル飲料(ミネラルウォーター、緑茶、ほうじ茶、無糖ストレート紅茶)を1本100円で販売しております。ご自分で買ってお持ちになっていただいても結構ですが、ミルクや甘み成分、果肉などが入ったものはお飲みいただけません。

 モビプレップ1リットルと水分500mlを飲み終わった時点で、看護師が便の具合をお尋ねしてチェックさせていただきます。まだきれいになっていないようなら、さらにモビプレップ500ml+水分250mlを追加。もう一度チェックしてきれいでなければさらにモビプレップ500ml+水分250mlを追加して終了となります。(実際はきれいになった時点でモビプレップを中止し、必要な分量の水分を追加して飲んで終わりになるので、細かくは違いますが大体の流れは上記のようになります。)

 中には全量飲んでも十分にきれいにならない場合もあり、その際は別の洗浄液であるマグコロールPを追加で飲んでいただきます。マグコロールPはサイダーのような味で、濃い味のモビプレップを飲んだ後には比較的さらっと飲めると思います。(もちろん、追加のおかわりになると大変ではありますが。)

 
飲み方の説明パンフレットについて

発売開始時点での飲み方のパンフレットは以下のようなものです。実際にモビプレップをお飲みになる際には必ず最新のパンフレットを参考にするようにして下さい。(クリックすると拡大します)

 

モビプレップパンフレット1   モビプレップパンフレット2

 

モビプレップパンフレット3   モビプレップパンフレット4

腸管洗浄液の種類について

大変申し訳有りません。ただいま準備中です。近日中にアップロードします。

当院での大腸内視鏡検査の流れ

当院での大腸内視鏡検査について

当院では大腸内視鏡検査を電話1本で予約して受けられますが、前日の食事など若干注意していただいた方が良いことがあります。さらに当院では、検査用下剤の種類や検査時の鎮静剤の使用などについて患者さんご自身のご希望を聞き、医学的に問題の無い限りはご希望に添うようにしております。細かい内容は次のページに書いておきますので、検査を予約する際には是非ご一読下さい。このページには、大まかな大腸内視鏡検査の流れについて書いておきます。

大まかな大腸内視鏡検査の流れと注意点

大腸内視鏡検査を行うには大腸をきれいな状態にする必要があり、そのために約2リットルの腸管洗浄液(下剤)を2時間くらいかけて飲んでいただきます。検査の流れと注意点は大まかに以下のようになります。

1. 検査前の食事について

 検査前に食べた食事の内容により、繊維質のものは腸の中に残って検査がしづらくなります。
特にキノコや海藻などはそのままの形で残ります。便秘気味の方では、2~3日前のものも残りますので、数日前から気をつけていただいた方が良い場合もあります。なるべく良い状態で見落としのない検査を行うため、検査前には以下のような食事の注意を守っていただくようにお願いしています。

 検査前3日間は野菜や海藻などの繊維質のものを避け、検査前日は遅くとも午後8時までに夕食を済ませます。その後は、水・お茶などの透明な水分以外は摂らないで下さい。ご自分で食事を準備できない方には、レトルトの検査食セットをクリニックの受付で販売しております。ご希望により宅配便でお届けすることも可能です。細かい食事の注意については次のページで詳しくご説明します。

2. 検査用下剤の内服

 当日朝から、クリニック(あるいは自宅)で約2リットルの腸管洗浄液を2時間位かけて飲みます。 7〜10回の排便があり、透明な黄色い液体しかおしりから出なくなったら検査を受けられます。ここまで通常2〜3時間かかります。

 ご自宅で下剤を飲まれた場合には、2〜3時間してひとしきり便が出てしまうと、後はあまり便意を感じなくなるので、電車などで来院できるようになります。

3. 検査着への着替え

 検査直前に検査用の紙パンツにはきかえ、検査用のガウンを着ていただきます。パンツを持参していただいても結構です。

4. 鎮静剤の注射と検査の施行

 ご希望により検査前に鎮静剤を注射します。当院で使っている鎮静剤では、少しお酒を飲んだような感じでぼーっとしますが、ほとんどの場合、眠ってしまうほどではないので、モニターに映る検査の映像をライブで見ていただけます。大概の方でこれだけで痛みを十分にとることができますが、それでも痛みがつらい場合には鎮静剤を追加してウトウト眠っていただきます。詳しくは次のページでご説明します。検査はポリープなどが無ければ20~30分ほどで終わります。当院では小さなポリープも極力見逃さずに切除するように心がけています。大腸の奥までの到達時間は早くて2、3分、通常は5~10分です。細かい観察は内視鏡を抜いてくる際に行い、複雑な大腸のヒダの陰などを入念に見ながら抜去していきますので検査全体には、簡単な腸で20分、通常は30分くらいかけています。

5. 検査終了後

 検査終了後は、鎮静剤を使っていなければすぐに帰れますが、鎮静剤を使った場合には院内で1〜2時間休んでいただきます。また、鎮静剤を使用した場合には、当日は車・バイク・自転車を運転することはできませんので、公共交通機関で来院されるようお願い致します。

 ポリープ切除のない場合には、検査後すぐに普通のものを食べて構いませんし、生活上の注意も特にありません。
 ポリープを切除した場合、そのサイズにもよりますが、1週間は食事や飲酒の制限を守っていただく必要があります。詳しくは以下をご覧ください。

6. ポリープの切除と切除後の生活上の注意について

 大腸ポリープには切除した方が良い腺腫性ポリープ(adenoma)と、切除の必要のない過形成性ポリープ(hyperplastic polyp)があります。前者は将来癌化する可能性があるので切除をお勧めしますが、後者は癌化の可能性が少ないと考えられており、切除せず経過観察します。腺腫性ポリープは大腸内視鏡検査を受けた方の約3~4割に見つかります。

 当院ではポリープが見つかった場合には基本的にその場で切除することをお勧めしています。すぐに切除することができない場合としては、1週間以内に遠出や旅行の予定がある場合、血液をサラサラにするお薬を飲まれている場合、当院で切除するには大きすぎるポリープがあった場合があります。

 以下のような場合には、ポリープを切除することはできません。
1.血液をサラサラにするお薬(バイアスピリン、プラビックス、パナルジン、エパデールなど)を飲んでいる方。
 このような薬を飲まれている方で、ポリープ切除を希望される場合は、主治医の先生の許可を得た上で、薬を休んでいただく必要があります。詳しくは、当院まで電話でお問い合わせいただくか、事前に一度来院して診察を受けて下さい。
2.旅行や遠出のご予定が1週間以内にある場合

 ただし、以下に示すように、5mm以下の小さいポリープの場合は、コールドポリペクトミーという方法で切除しますので、旅行が可能な場合もあります。
3.大きすぎるポリープ(当院では2cm以上のポリープでも可能なものは切除しますが、安全上問題があると判断される場合は、切除せずにご紹介となります。)

当院では2015年から、5mm以下の小さいポリープについてはコールドポリペクトミーとよばれる方法で切除しております。その場合、切除後の出血リスクがほとんどないため、当日の禁酒以外には切除後の生活制限はありません。6mm以上の大きさのポリープでは、電気メスを使った切除をしており、切除後1週間は以下のような生活制限を守っていただく必要があります。ですから、ポリープ切除を希望される場合は、旅行や飲酒(宴会)などのご予定を検査後1週間は入れないようにお願いいたします。最終的には、検査当日に医師がスケジュールをお伺いし、ポリープ切除が可能かどうか判断させていただきます。

電気メスを使ったポリープ切除を行なった場合は、以下のように旅行や飲酒は1週間できません。
《遠出・旅行の制限》
万一出血が起こった場合にはクリニックに来ていただき内視鏡で止血を行いますので、切除後1週間は旅行など遠方にお出かけになることはおやめ下さい。
《飲酒・香辛料の制限》
出血の予防のため、ポリープ切除後1週間は、お酒を飲んだり辛いものを食べることはできません。これは切除後の出血のリスクをかなり増やしますので、必ずお守り下さい。
《入浴の制限》
切除の当日は、シャワーも入浴もできません。翌日はシャワーのみ、翌々日から入浴可能です。
《食事の制限》
ポリープ切除の当日と翌日は食事にも制限があります。
 まず、ポリープを切除した当日は、検査終了後も水・お茶など透明な飲み物しか摂れません。コーヒー・紅茶なら、お砂糖は入れても構いませんが、ミルクは入れないようにして下さい。ジュースは、果肉の入っていない透明なもの(例えばリンゴ・ぶどうジュースの果肉のないもの)なら差し支えありません。はちみつレモンなどの缶飲料も、ミルクや果肉の入っていないものでしたら飲んでいただけます。炭酸が入っていても大丈夫です。もし塩味のものが欲しければ、具のないコンソメスープやすまし汁を飲むようにして下さい。
 切除の翌日は、丸一日、レトルトの検査食セットを食べていただきます(商品名:ポリエクトミール。検査終了後にお渡しします)。内容としては、おもゆから少しずつ硬めのお粥になっていきます。それ以外でしたら、牛乳やヨーグルトは摂っても大丈夫です。
 切除の翌々日からは、普通の食事を摂っていただけますが、飲酒や辛いものは1週間避けていただきます。

次のページには詳しい注意点やご自分で選んでいただく内容を書いてありますので、検査までにお読み下さい。

大腸の病気の種類

大腸の病気について

病気の種類と症状[大腸]

以下に、大腸肛門科で訴えの多いおなかの症状を挙げてあります。実際には、便が細い、便が回数を分けて出る、おなかが張るなどの症状は必ずしも大腸に異常があるとは限りません。しかし、内視鏡で異常のないことを確認しないと確実な診断はできませんので、怖がらずに一度は大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。

便が細い。

便が軟らかい方、便が1日に回数を分けて出る方などでは時々見られ、必ずしも異常とは限りません。しかし、直腸やS状結腸に狭窄をおこすような大腸ガン、大腸ポリープの可能性もありますので、大腸内視鏡検査が必要です。

何回も回数を分けて排便がある。

朝、最初に排便があった後に、さらに何回か少し時間をおいて繰り返し排便のあるタイプと、1日のうちに時間を分けて毎食後などに排便のあるタイプがあります。前者では、大腸の上の方にある便が肛門近くの便が排出された後に少したってから下の方に送られてきて、順次便意を起こし排便が起こります。後者では、食事や運動などが腸を刺激して排便を促します。このような症状が5〜10年以上続いていて変化が無いということであれば体質的な腸の習慣ということが考えられますが、最近半年くらいで起きてきたような場合には大腸ガンや大腸ポリープによる症状である可能性があります。いずれにせよ、一度は大腸内視鏡によるチェックが必要です。

最近(1〜数ヶ月)、常に残便感と便意がありトイレに行っていきむが、ほんの少量しか排便できない。

直腸やS状結腸に、大腸ガン、大腸ポリープができている可能性があります。実際には単にストレスなどで便意が瀕回になっている場合も多いので、心配するよりはまず検査を受けましょう。

便に血が混じる、血液だけが出る。

【肛門の症状】の「肛門から血が出る」の項を参考にしてください。

排便前におなかが痛む。

便秘で便がたくさんたまっていたり、あるいは便秘でなくとも便が下におりてくると、腸が張って痛みを感じることがあります。腸は、内側の粘膜には知覚が無く痛みも感じませんが、腸管壁が引き伸ばされると痛みとして感じます。(このため、内視鏡検査のときに大腸を無理に押していれると大腸壁が引き伸ばされて痛みを感じます。)下痢のときに腸の動きが高まって(亢進していると言います)、おなかが痛むのも同じ理屈で、腸の激しい動きで局所的に腸管内の圧力が高まり、腸管壁の一部が引き伸ばされるものと考えられます。排便前の痛みはS状結腸で起こるため、左下腹部に感じることが多いです。便秘や腸炎以外にも、大腸ガン大腸ポリープで腸の流れが悪くなっていてもこのような症状が起こるので、繰り返しこのような痛みが続く場合には大腸内視鏡検査が必要です。

おなかが張る。

上に述べたような排便前の腹痛と同様、腸管が張っておこります。やはり繰り返し起こるようなら、大腸に異常のないことを確認するために大腸内視鏡検査をお勧めします。

便秘と下痢を繰り返す。

腸管の緊張状態が強く、大腸に強い蠕動運動の見られる方によく見られる症状です。過敏性大腸症候群と呼ばれることもありますが、それほど典型的でなくても普段からこのような傾向を自覚されている方は多くいます。一般には精神的ストレスも影響していると言われます。なるべくストレスのかからない規則正しい生活をして、適度な運動をし、野菜や海草などの繊維質のものを多く取るようにすることが大切です。やはり、便通があまり困難になるようであれば、一度大腸内視鏡検査で大腸を調べる必要があります。

ガス(おなら)がたくさん出る。おならが臭い。

ガス(おなら)はその大部分が食事などと一緒に口から入ってきた空気であり、腸管内で発生するガスはごく一部です。ですから、精神的なストレスのたまっているときに無意識のうちに空気を飲み込んでしまい、排ガスが多くなることが見られます。しかし、腸が健康でない場合に腸管内で異常発酵がおこりガスが発生することもあります。予防としては、ストレスの少ない規則的な生活をし、ヨーグルトなどの乳酸菌や野菜・海草などの繊維質のものを多く取ることが必要です。あまりガスが出て、おなかが張って苦しいときには大腸の検査をお勧めする場合もあります。

下痢が1ヶ月以上続いている。

このような場合には腸の慢性炎症を起こす病気を考える必要があります。具体的には、潰瘍性大腸炎クローン病と言ったものです。大腸内視鏡検査で正確な診断をすることが必要です。

突然の下痢に続いて、繰り返し血液がおしりから出る。

急に腹痛が起こり、下痢に続いて血液が繰り返しトイレで出る症状があれば、虚血性大腸炎が疑われます。数日便秘した後に起こることもあれば、とくに誘因無く起こることもあります。また、大腸憩室出血の可能性もあります。いずれの場合も痛みの程度は様々で、ほとんど腹痛を感じないこともあります。外来患者さんでこのような出血が見られたら、すぐに大腸内視鏡検査を行い診断します。大腸憩室出血の場合には内視鏡で止血を行う場合もあります。その他、大腸ガンからの出血の場合もありますので、大腸内視鏡検査は必須です。まれに大腸憩室出血では輸血が必要なほどの出血の起こることもあり、その場合は入院のできる病院にご紹介します。

当院の大腸内視鏡検査の治療方針

当院の大腸内視鏡検査の基本方針

  1. 内視鏡の挿入はできるだけ痛みを少なくして短時間で行う
  2. 腸の観察は時間をかけて丁寧に行い、小さいポリープでも見逃さないようにする
  3. 小さいポリープでも取った方がよいものは切除する
  4. 小さいポリープに対してはコールドポリペクトミー
  5. 2cm以上の大きいポリープでも切除可能なものは当院で切除
  6. 手術が必要なものは、東大などへ紹介
  7. 大腸の慢性炎症が見つかった場合

内視鏡の挿入はできるだけ痛みを少なくして短時間で行う

大腸に内視鏡を入れる際、腸が押されて伸びると痛みが出ます。当院では、そうならないように軸保持短縮法という方法で腸をたぐり寄せながら内視鏡を進めていきます。

しかし、この方法を使えばすべての方で検査が痛みなく行えるというわけではありません。違和感も痛みも感じない方もいれば、痛みがつらいと感じる方もおられます。当院では、検査前に患者さん自身のご希望をうかがい、痛みが怖いようでしたら最初から鎮静剤を使うことをお勧めしています。また、検査途中でも痛みがあれば必要に応じて鎮静剤を追加し、つらかったという印象があとに残らずにすむよう心がけています。

腸の観察は時間をかけて丁寧に行い、小さいポリープでも見逃さないようにする

腸の検査は病気がないかを調べるためのものです。いくら早く検査が終わっても、病気が見落とされては意味がありません。

大腸内視鏡検査では入れながら病変を探していると思われるかもしれませんが、実は病変を観察するのは抜く時です。もちろん大きい病変は入れていく際にわかりますが、小さい病変は抜くときに見つかります。その理由は、大腸を空気で膨らませてしまうと腸が伸びて内視鏡が進みにくくなるため、挿入時には空気を送ってヒダを広げることができないからです。内視鏡が奥まで入ってはじめて空気を送り、ヒダの奥まで広げてポリープを探すことができます。ですから、隠れたポリープを見落とさないようにするには、ゆっくりと観察しながら抜いてくることが大事になります。

できるだけ病変を発見して将来の大腸がんの発生を予防するためには、時間をかけて丁寧に観察することが重要であると科学的に証明されています。内視鏡をさっと入れてさっと抜いてしまうのでは、せっかく苦労して検査を受ける意味が半減してしまいます。当院では、抜いてくるときに十分に観察してわかりにくいポリープでも見つけて切除することを重視しており、検査開始から終わりまで30分前後かけています。理想とするのは、奥まで苦痛なくさっと入れ、よく観察しながらゆっくりと抜いてくる検査です。

小さいポリープでも取った方がよいものは切除する

大腸のポリープには取る必要のあるものと取らなくても大丈夫なものがあります。当院では、取らないでよいとはっきり判断できるポリープは切除せずに様子をみますが、取る必要のあるポリープと疑われるものは、3〜4mmと小さくても取るようにしています。目標とするのは、「クリーンコロン」と呼ばれるポリープが1個も残っていない状態です。しかし、ポリープが数多くある場合には一度に取りきれないので、後日再検査して取ることになります。切除するポリープの数が多ければ多いほど、切除後出血のリスクも必然的に増えますから、一回の検査で切除するポリープの数は原則として5個までとしています。ただし場合によっては一度に7〜10個のポリープを取る場合もあります。

小さいポリープに対してはコールドポリペクトミー

従来の大腸ポリープ切除では、電気メスという装置を使って高周波の電流を組織に流して焼き切る方法で切除していました。この方法では、切除部の周囲も少し焼かれるので病変の取り残しが起こりにくいというメリットはありますが、切除後出血のリスクがわずかながらあり、検査後1週間は食事・飲酒・旅行の制限があるというのが欠点でした。

当院では2015年から、4mm以下の小さいポリープにかぎり、コールドポリペクトミーと呼ばれる方法で切除しており、この方法での切除後の出血事例は全くないという良好な結果を得ています。コールドポリペクトミーでは切除後の生活制限がほとんどないので、従来のポリープ切除よりも大変楽に過ごせます。

2cm以上の大きいポリープでも切除可能なものは当院で切除

ポリープの形にもよりますが、2cm以上の大きさのポリープであっても、表面の様子から良性であると判断され、当院で切除可能なものは切除しています。切除できない大きさのものが見つかったら専門病院にご紹介します。

手術が必要なものは、東大などへ紹介

大腸がんや当院では切除できない大きさのポリープが見つかった場合は、専門的な治療ができる病院にご紹介しています。紹介先の病院については、もしご希望のところがあればそちらにご紹介しますが、特にご希望のない場合は、東京大学医学部附属病院の大腸肛門外科にご紹介しています。国立がんセンター大腸外科やがん研有明病院消化器外科にも大学の医局を通じての関連がありますので連携してのご紹介が可能です。大きいポリープの切除については東京大学医学部附属病院のほか、国立東京医療センター、昭和大学横浜北部病院などにご紹介しています。

大腸の慢性炎症が見つかった場合

ポリープやがんなどの他にも、大腸に慢性の炎症(炎症性腸疾患と呼びます)が見つかることも最近増えています。多くのものは当院で飲み薬や坐薬を処方して治療しますが、炎症の程度によってはより高度な治療が必要となる場合があります。その場合は、連携している専門病院にご紹介いたします。主な紹介先は東京大学医科学研究所大腸肛門外科ですが、そのほかの紹介実績としては、昭和大学病院消化器内科慈恵医大附属病院消化器・肝臓内科JCHO東京山手メディカルセンター炎症性腸疾患センターなどがあります。

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